医療ビッグデータ解析
深層学習・機械学習に基づく予後予測方法の開発
ディープラーニングを筆頭に、データサイエンスと呼ばれる学問領域が急速な発展を遂げています。この技術は医療にも応用が可能であり、医用ビッグデータ解析を行うことで、今まで明らかにされてこなかった様々な因子の非線形な関係を学習し、予後解析に役立てることができます。
ここでは、いかに大規模かつ質の高い医用ビッグデータを作成できるか、ということが非常に重要です。本研究室では、東京大学医学部附属病院と協力し、放射線治療分野の様々な疾患のデータベースを作成しています。
さらに、近年、"Radiomics"と呼ばれる医用画像から定量的なバイオマーカーを算出する新しい学問領域が注目されています。医用画像を定性的に評価するだけでなく、画像処理技術を用いて定量的な数値データを解析することで、読影、さらには予後予測に利用できる可能性が報告されています。
本研究室では、これらの技術を組み合わせて使用することで、個別化医療の実現を試みる研究を勢力的に進めています。今後の医療の新しい形を提案することができるのではないかと考えています。
画像誘導放射線治療システム開発
放射線治療では、治療計画通りの線量を投与するために、患者さんを正確にセットアップすることが重要だと言われています。放射線治療の直前に位置合わせ用の画像を撮影しますが、前述のTMIのように、全身に広がるターゲットを対象とする治療では、
①早く撮影が終わること
②被ばく線量をできるだけ減らすこと
③できるだけ広い範囲を画像化すること
を同時に満たすシステムが望まれています。
そこで、本研究室では、iterative reconstruction法という画像再構成手法に基づき、上の3つの要求を満たす画像誘導放射線治療システムを開発しています。
放射線治療機器メーカーの研究開発チームと協力することで、基盤技術の開発だけでなく、その成果を実際の臨床現場に還元することを強く意識して研究を進めています。
Total Marrow Irradiationの臨床治験に関する研究
白血病患者への骨髄移植の前処置として、これまでは全身照射(total body irradiation: TBI)を行うことが一般的でした。
TBIの目的は、免疫抑制と腫瘍細胞の根絶です。さらなる治療成績の向上を目指して、TBIの線量増加試験が行われました。しかし、線量を増加することで再発は減るのですが、臓器への線量も増加するため副作用が増えてしまい、全生存率は向上しませんでした。
そこで、全骨髄照射(total marrow irradiation: TMI)という新しい照射方法が注目されています。TMIでは、強度変調放射線治療技術を用いて、高線量が照射される体積を骨領域に限定します。臓器への線量を抑えることができるため、
①骨髄への線量増加による腫瘍制御効果の増強
②臓器への線量減少による副作用の減少
が期待され、白血病患者に対する治療成績を向上できる可能性があります。現在、欧米の施設で臨床治験が行われています。
しかし、TMIでは全身に広がるターゲットに対して強度変調放射線治療を行うため、技術的なハードルが高く、更なる研究が必要とされています。
本研究室では、ミネソタ大学やCity of hope hospital などの海外の施設と協力することで、TMIの様々な問題の解決を試みています。
Total Marrow Irradiationの臨床治験に関する研究
白血病患者への骨髄移植の前処置として、これまでは全身照射(total body irradiation: TBI)を行うことが一般的でした。
TBIの目的は、免疫抑制と腫瘍細胞の根絶です。さらなる治療成績の向上を目指して、TBIの線量増加試験が行われました。しかし、線量を増加することで再発は減るのですが、臓器への線量も増加するため副作用が増えてしまい、全生存率は向上しませんでした。
そこで、全骨髄照射(total marrow irradiation: TMI)という新しい照射方法が注目されています。TMIでは、強度変調放射線治療技術を用いて、高線量が照射される体積を骨領域に限定します。臓器への線量を抑えることができるため、
①骨髄への線量増加による腫瘍制御効果の増強
②臓器への線量減少による副作用の減少
が期待され、白血病患者に対する治療成績を向上できる可能性があります。現在、欧米の施設で臨床治験が行われています。
しかし、TMIでは全身に広がるターゲットに対して強度変調放射線治療を行うため、技術的なハードルが高く、更なる研究が必要とされています。
本研究室では、ミネソタ大学やCity of hope hospital などの海外の施設と協力することで、TMIの様々な問題の解決を試みています。